へろへろ_宅老所よりあいの人々

2017/02/19(日)更新  カテゴリー:おすすめ本

へろへろ(ナナロク社)
鹿子裕文



大場ノブヲさんという一人のお年寄りの生活を支えようと思って始まった介護施設「よりあい」を描いた実話。

デイサービスや介護施設というと、いかにお年寄りを管理するか、プログラム通りにリハビリをすすめて現状の状態を維持するかに重きがおかれています。

ところが、よりあいでは、「ぼけても普通に暮らしたい」ということを基本方針とし、お年寄りの目線に立って生活を支えることを考えています。入所ありきではなく、住み慣れた自宅での生活を長く続けられるような支援や、寝たりぼーっとしたりおしゃべりしたり、といった自分の好きな時間を過ごすことに重点をおいています。

在宅での生活を支えるために、その人にとって何が必要かを考えて動く。介護職が専門性を発揮するのは、介護の技術ではなく、そういったところであり、「老人ホームに入らないで済むための老人ホーム」という考え方は非常に共感できました。

住民説明会での村瀬さんの説明が印象に残りました。

ぎりぎりまで自宅で暮らす方法がひとつある。それは、自分の時間を誰かのために使うこと。ボランティアや健康のためだと思ってやっても続かないから、遊び半分であまり深く考えずに一緒に何かをやることを続けてみる。ランチを作ったり、バザーで物を売ったり、添い寝したり。そうやって何度も続けるうちに、顔見知りになって縁ができていく。時間をかけてできた縁というのは易々とは切れない。そうやって縁をつくりながら、寄り添って支援をしていくのがよりあいが続けてきた支援である。

今後、さらに加速する高齢化社会に向けて、多くの方に読んでいただきたい良書です。



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