臨床医のノート

2015年01月08日(木)更新  カテゴリー:おすすめ本

臨床医のノート (エムイー振興協会)
徳永 進著

一人の医師が、ハンセン病、医療過誤、高度医療、老人医療などに迫り、医療のあり方、人間の生き方の本質を問いかける。



考えさせられることが非常に多かった一冊です。
現代医療に警鐘をならしつつ、それでも何が正解で、何が間違えなのか答えはでない。臨床という現場の中で、それぞれの状況応じた答えを見つけていくしかなく、それを正面から考え抜いた著者の苦悩が表れていました。

高度医療と人間を診る医療、医者と患者、末期患者と死、医療過誤など、様々な問題がとりあげられていますが、その中で私が特に印象に残った部分を抜粋します。

・ターミナル・ケア(看護)の功罪の罪は、ターミナル・キュア(治療)を葬り去ろうとしたこと。臨床という日和見主義の場に立てば、キュアもケアも入り交ざったものである。

・高度医療が人の命を救うことになっても、人は病気にかかる存在で、老いる存在で、死ぬ存在である。

・病気を見るのではなく病人を診るという理想を語っても、結局はCTや内視鏡で修理部位を発見してもらうことを人は求め、近代医療の恩恵を誰もが受けたい。医者と患者の距離は高度医療器の普及とともに遠のいている。

・飛躍した医療技術により、早期発見・早期治療ができるようになった反面、放置してもいい人たちが精密検査を繰り返し、膨大な医療費を消費して初めて安心を得るようになった現代の姿は国民全体が「健康を求める神経症」に罹患しているようだ。

健康で長く生きられることは大切でありがたいことですが、それ自身が人生の価値や意味ではなく、したいこと、追い求めたいことがあり、気がついてみると長い命まで生かしてもらえたということに感謝する、という著者の考え方には大いに共感できました。



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【本記事の作成者:佐藤こうき】
はり・きゅう・マッサージの治療院に2年3ヶ月勤務後、都内の整形外科内科の病院へ勤務し、鍼灸マッサージによる治療を行う。
病院に勤務しながら、東京都北区・豊島区・板橋区・都電荒川線沿線を中心に出張治療を行っている。

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